Hotchpotch Miyagi

元某編集チョー、今しがないコーホーがお送りする、ごった煮みやぎ。

ヤワな奴、嫌いじゃないかも。

ひとつ前の記事で「柔らかいのが正義」という世の中に疑問を呈しておいてアレですが、予約必須の名店で寿司食って、本マグロの柔らかさに昇天してしまいました。「柔らかいのが正義」というか「美味いが正義」ですね。超ヤバかった。愛宕橋駅近くの「弘寿司」さんです。

以下、美味かったので、長い長い自慢の記事がはじまります。うん、以下と烏賊が掛かってますよ。


数種類のツマミを楽しんだ後、握りの初っぱなは本マグロ。行者ニンニクを乗せています。こちらの名物のようですが、身悶えする美味さ。ねっとりトロと赤酢のシャリの具合がキセキ的。鼻から抜ける行者ニンニクの香りが素晴らしいアクセントに。シャリがエアリーなんですよ。空気と一緒に握ってる感じ。

CTスキャンにかけると、こういうことですね。


全部書いてるとキリがないので抜粋。カワハギに肝を乗せて。不味い要素が一切ない。肝の濃厚さに負けない身の力強い味わいがたまんねっす。シャリは3種類をネタによって使い分けているそうです。


南蛮エビには、エビの卵をONして、さらに焼いた桜エビを加える仕事ぶり。甘味、香ばしさ、コク、あらゆる角度からエビの味わいをひと口で楽しめます。


高級魚のハタ。隣のお姉ちゃんの「ハタハタ?」という質問に、親方の冷静な「ハタです」って返しが酔っ払いおじさんにツボる。ワサビの茎を松前漬け風に仕立てたものを乗せてます。言うことなし。星かわいい。


寿司の歴史を教えてくれるひと皿。寿司を「弥助」と呼んでいた時代の味をインスピレーションしているそう。ノドグロには京みそを乗せて。仙台味噌は風味が強すぎて合わないそうです。もう一個は金目鯛。冷蔵庫がない時代の濃い目の味。食べてお勉強です。


白貝。食ったことないヤツ。煮切り醤油にも相当こだわっているそう。昔は、鮮度が落ちて悪くなった色や風味を誤魔化すために使用してたそう。お勉強寿司第二弾です。ねっとりシャキシャキ。


アワビには焼き目をつけた雲丹を乗せてます。分かりやすく言うと、メッシとスアレスみたいな?ん、分からない??焦げ目は笹と一緒に焼いてつけてるそうで、爽やかな香ばしさ。アワビにしっかりと隠し包丁を入れ、シャリと一緒にほぐれるあたり、メジャーな素材以上に仕事ぶりが評価されるべき逸品。

そうそう、江戸前寿司というか、ここまでくると創作寿司の域に入るのでしょうか。

とか

とか言うのって、寺沢大介の漫画の中だけのものだと思ってたけど、本当に美味い寿司食うとこうなっちゃう。将太の寿司マジリスペクト。


多分、真イカ。この辺から酔いが深まってます。竹塩と岩塩、二種の塩を使用。上のカラフルなのは、赤梅、青梅、紀州梅。梅の爽やかな香りがイカの甘味に奥深さをプラスします。


秋刀魚はある意味ナンバーワンだったかも。生姜を加えた糠に3時間ほど漬け込んでるそう。営業時間より仕込みの時間の方が長いらしいです。青魚特有の嫌な部分が全部吹き飛んで、純粋な旨味だけが寿司になった感じ。仕事が味に昇華してます。よく見るとシャリは2種使用。ちなみに生姜はアニサキスも殺してくれるそうで。安心安心。


奥さんはコレでギブ。ギブなのに苦手な焼きハマグリ。たまにジャリっとするのが苦手な理由らしいです。丁寧に手を掛けられているせいか、砂を感じることなく奥さんフィニッシュ。一番美味しかったって言ってました。シャリを少なめにしてくれる親方の気遣いがまた◎です。


子持ち昆布とかカニとかはカット(美味しかったですが)。こちらはクエ。山芋とスライスしたブルーベリーを乗せて。ブルーベリーですよ!何、やっぱり親方天才なの?クエって生ではじめて食べた。ねっっとりです。ちっちゃい「っ」が多めになるくらいに口の中でまとわりつく食感。

ラスト!のコールドで出てきたのは、煮穴子と出汁巻たまご。出汁巻に使用するたまごも、親鶏の品種によって味わいが変わるそう。凄い弾力。ケーキみたい。穴子はふわふわにも程があります。雲食ってるかと思った。


いやぁ、美味かった。と恍惚の表情をしていると、目に入ったのは隣の席に出されたマス。サーモンじゃなくマスなのは、親方の意地なのだそう。サーモンって江戸前で出ないって言いますもんね。でも、品種改良で美味しくなったサーモンに比べ、マスは若干土臭いのだそう。昆布締めしても消えないらしく、そこで組み合わせるのが蜜柑ですよ、蜜柑。


猛烈に美味そうだったので追加オーダー。サーモンよりも、無理してない味って印象です。コレまた美味かった。


江戸前っていうか創作寿司っていうか、小さな握りに込められた無数に広がる可能性。コレは寿司という名の小宇宙(コスモ)ですよ。

セブンセンシズが目覚めた夜です。


そしてカウンターの寿司屋で恐ろしいお会計の時間。なのですが、噂通り、いや噂以上のコストパフォーマンス。飲んで食ってで一人1万円いかないとかどーなってるの?しっかり働いて、また来月来ようと心に決めながら、千鳥足で帰路につくのでした。


弘寿司/宮城県仙台市太白区越路16-10(Google マップ