味噌汁に麺ぶっ込んだラーメンといっしょにすんな。
味噌という調味料には、際立った包容力がある。
味噌汁はそのいい例だ。
ナスや油あげ、キノコ類にキャベツ、肉を入れれば豚汁に進化するし、魚を入れてもレベル高く成立する。トマトとかカボチャとか、やったもん勝ち、入れたもん勝ちの傍若無人の世界、それが群雄割拠の味噌汁界だ。
つまり、味噌の懐はエグいほどに深いということ。もはや、どんな食材を投入しても味噌汁になってしまう、それはイイ意味でも悪い意味でもだ。
悪い例として挙げやすいのが、東北人が好みがちな味噌ラーメン。味噌の恐ろしさを知らずに手を出したラーメン店主は、謂わゆる「味噌汁味」のラーメンをつくってしまう。この一杯から感じるのは、普段の食卓、 そして普遍の味わいだ。まったくもって詰まらない。そそられない。丼ぶりからリビドーが溢れ出ていない。そして悲しいことに、この「味噌汁味」ラーメンを出す店は、決して少なくないのだ。
そんな中、フレンチの職歴を持ち、味噌という調味料に惚れ込んだ店主がつくるラーメンが若林区若林にある。味噌三礎という店だ。
引き算で美味くなるラーメンは数々見てきたが、味噌三礎の味は遥かなる足し算でできあがっている。いや、もうかけ算というレベルかもしれない。今回オーダーしたのは「まろやか濃厚白味噌 得々(990円)」。
複雑に仕立て上げられたスープは、まるで味噌ポタージュ。豚と鶏の白湯に、魚介と鶏の清湯を加える。さらに、野菜やホタテなど様々な食材を重ねて、まろやかで深みのあるスープをつくりあげる。コシと喉ごしのイイ玉子麺。たっぷりの野菜も味噌の包容力を味方にしている。
「仙台市内で美味しいラーメン屋を紹介してよ」
と言われる機会は多いのだが、その回答には毎度のごとく困る。ラーメンの趣味はそれぞれ異なり、どの趣味嗜好も間違いではないからだ。しかし、
「仙台市内で美味しい味噌ラーメン屋を教えてよ」
だったら迷いなくこの店を紹介する。涼しくなるとなお美味い。最近は行列もできているし、駐車場もプレッシャーの掛かりやすい形態なので、ゆとりを持った来店が吉。
味噌三礎/仙台市若林区若林1-4-50(Google マップ)
- 出版社/メーカー: サンヨー食品
- メディア: 食品&飲料
- この商品を含むブログを見る